剛
昼、弟の試合を見に行った。
弟は総合格闘技のジムに通っていて、今年で二年目になる。今日は
そのデビュー戦であった。
「デビュー戦」なんて言うと聞こえはいいが、実際は交流戦のよう
なもので、入場無料でジムが会場、客は家族や友達…といった、
手作り感の溢れる小さな試合だった。
この、なにやら他人事とは思えない厳しそうな状況。主催者らしい
偉そうな人が、開会式で言っていた。
『〜残念ながら、沖縄の総合格闘技界はまだまだ盛んではありません。
しかし、今後も今日のような機会を設けることにより、世間一般
への認知度を高め、更なる発展をさせていこうじゃないか』
みたいなことを。
妙な親近感を覚えた。
沖縄の現代演劇も、世間一般への認知度を高め、更なる発展をさせて
いけたらいいじゃないか。
で、当たり前だが、規模が小さいとはいえ選手たちは真剣に戦っていた。
その予想以上の迫力に、うっかりかぶりつきで観ていたわたしは、
すっかり圧倒され引き込まれてしまった。
「期待していなかった」のは確か。しかし、それを差し引いても
十分に楽しい時間であった。
弟は残念ながら負けた。悔しいと思っているかどうかはわからないが、
いや、思っているはずだが、今後はその負の力をバネにして、より
一層、訓練にはげんでもらいたい。