おくに

2007年05月26日 23:59

夜の海に行った。
今にも雨が降りそうな空模様だからか、わたししかいなかった。

しばらく黙って海を見つめていると、賑やかな男女の集団がやってきて、
突然、花火を始めた。
雰囲気からすると学生のようだ。
「ぎゃー!ぎゃー!」
「わぁー!わぁー!」
「えーっ!ケンゴやめれぇ!」
「危ないだろぉ!はげぇ!」
などと言いながら、とても楽しそうに遊んでいる。

またしばらくすると、今度は女性の二人組がやってきた。
話し方からすると、こちらも学生のよう。
「高校卒業してから遊ばないさ?」
「応援したいけど…」
「一緒に帰ろうって待ってたわけさ…」
「好きだけど…」
と、恋愛相談をしている。
浴びせるような話し方なので、風上はこちらなのに良く聞こえる。

その間、反対側では
「ぎゃー!ぎゃー!」
「わぁー!わぁー!」
「ケンゴぉ!」
「えーっ!熱い熱い!」

ふと気がつくと、わたしの背後に中年の男性が立っていて、
騒ぐ花火集団をジッ…と見つめていた。
彼は何も言わず、ただジッ…と見続けていたが、
不意にプイッと居なくなってしまった。

すると、今度は入れ替わりで二十代中盤
くらいのカップルがやってきた。
彼らは、どこに陣取ろうかと迷いうろうろしていたが、
やがてわたしの近くに腰掛けた。
だが、やはり落ち着かなかったのだろう。
すぐに比較的静かな方、恋愛相談組の向こう側に移動した。
そしてそっちでいちゃいちゃいちゃいちゃ。

おい、雨、何故、降らぬ。